東京工業大学 實松研究室 實松研究室

研究テーマ

1) Arimoto-Blahutアルゴリズムの拡張

情報理論における様々な符号化問題の限界を表現する量は,多くの場合最適化問題の解の形で表現されます.有本ブラハットアルゴリズムは,離散無記憶通信路の通信路容量と離散無記憶情報源のレート歪み関数を達成する確率分布を求める反復アルゴリズムであり,最適値への収束が保証されています.最近の情報理論の限界を表現する量も計算アルゴリズムを必要としています.我々は,そのような最新の有本ブラハットアルゴリズムの拡張を研究しています.

2) ガボール分割多重信号によるレーダと情報通信

高速移動する自動車,低軌道衛星との通信,水中音響通信など大きなドップラー周波数推移を伴うような通信で,信頼性の高い情報通信を実現することを目的として,私たちの研究室では,ガボール分割多重通信を研究しています.この通信方式は時分割と周波数分割を同時に行う我々のグループの独自の方式であり,ドップラーシフト量を推定し補正することが出来ます.

3) 深層学習の応用研究

MRIやCTの3次元画像から病変の有無を判断する読影を行うには,放射線科の医師が一定の訓練を積まなければなりません.将来的には,人工知能が専門医の能力を超えて医用画像から高信頼に異変を見つけることができるだろうと期待されています.私たちの研究室では、医師がより良い診断を下せるように、MRIやその他の医療用画像の信号処理技術を研究しています。

4) カオス力学系に基づくAD変換器と乱数生成

実数から実数への関数 \(f\) 及び初期値 \(x_0\) が与えられたとき漸化式 \( x_{n+1} = f( x_n )\) によって生成される系列\(x_n\)の振る舞いや性質について議論するのが(離散)力学系という学問です。
区間 \(I = [0,1]\) 上の関数 \( B (x) = 2x\) (if \(0 \le x \le 1/2\) ), \(B(x) = 2x-1\) ( if \( 1/2 < x \le 1\) ) によって生成される \(x_n\) と閾値関数 \(Q(x) = 0\) ( if \(0 \le x \le 1/2\)), \(Q(x) = 1\) ( if \( 1/2 < x \le 1\) )を用いると、\(Q(x_n)\) は初期値 \(x_0\) の二進展開の第 \(n\) ビットを表します。
このことから、\(B(x)\) は、二進展開写像(またはベルヌイ写像)と呼ばれています。
初期値 \(x_0\) を区間 \(I\) 上の一様分布に従って無作為に選ぶことと、\(0\) と\( 1\) が確率 \(1/2\) で出てくる確率過程が対応します。
私の研究室では \(\beta\) 写像 \(f_{\beta, \theta}(x) = \beta x\) (if \( 0 \le x \le \theta\) ), \(B(x) = \beta x-1 \) ( if \( \theta < x \le 1\) ) ( \( \theta \) はある閾値)を用いたAD変換器の性質と乱数生成器としての応用を研究しています。

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